マガジン3:「宇宙」を表現する知恵

宇宙を舞台にした映画は、大作映画の王道と言うべきものである。そうした映画に魅了され、自分も宇宙を舞台に映画を撮ってみたい、と思った人は多いはずだ。
だが、現実問題として、ハリウッドのように莫大な予算をかけることはできない。手持ちの予算と技術で、なんとかするしかない。こんな映画は自分1人では到底作れない、と絶望的な気分になる宇宙映画は確かに多い。
一方で、可能性を感じさせてくれる宇宙の映画もある。例えば、昔に製作された古典的な宇宙映画。合成やCGの技術が発達していなくても、当時の人々は知恵を働かせ、美しい宇宙映画を作り上げた。
それに、低予算の映画だって、お金がないなりに自由な発想で宇宙映画を作り、こんな作り方もあるのか、という新しい発見を与えてくれる。
宇宙映画を作ることに、挑戦したくなるような、アイデアに溢れた映画を集めていければ。そう思っている。

海の写真

2001年宇宙の旅
監督・スタンリー・キューブリック 脚本・スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク
出演:キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド ほか
公開年:2001


この映画を見る直前、金曜ロードショーで「ハン・ソロ」を見ていた。お金がかかってるな、さすがディズニーだなと感心したのだけれど、何か物足りない。戦場を描いているせいもあるがとにかく殺風景で、彩りに欠けた映像なのだ。もっと美しい宇宙が見たくなって、途中で見るのをやめてしまった。


「2001年宇宙の旅」。冒頭から衝撃を受けた。ひたすら音楽と共に写真を切り替えていくだけ。やっていることはパワーポイントのスライドショーでもできることだ。なのに、その映像体験は紛れもなく映画なのだ。宇宙映画って、こんなシンプルでもいいんだ、という大きな発見だった。


今まで見たキューブリック監督の作品は、どれも冒頭のシーンをはっきり記憶している。「時計仕掛けのオレンジ」の、顔からゆっくりズームアウトする長い導入。「シャイニング」の、ひたすら山道を走る車を上から撮っている映像。今回の写真スライドショーも含め、それらは全て長めのシーンでありながら、退屈さを感じさせない。だから強烈に記憶に残っているのだと思う。


「2001年宇宙の旅」は、最近だと人工知能を語る時に例示される。宇宙船に搭載された人工知能HALのくだりを。だから、人間と技術についての物語というイメージがなんとなくあるけれど、そういう凡庸な話ではない、ということは本作を通して見て分かったことだ。だから何が分かったかって言われても答えるのが難しいけれども。


ただ、話が難解だからこそ、何度オマージュや言及・解説があっても、その魅力を汲み尽くすことはできないのだろう。印象的な美しいシーンが多いので(特にモノリスが出てくるところ)、アンダーカバーのコレクションに採用されたりもしているけれど、それもまた一つの面。また違った切り取り方もできるし、作品の生かし方がある。本作はそうした無限の可能性を秘めた作品なのだと思う。